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趣味や仕事について書くブログ

Slackのtimesチャンネル(分報)に思うこと

最近のIT業界では、Slack で times(分報)文化のある会社をよく見かけます。timesとは、一言で表せば「社内版Twitter」で、開設者が好きなことをつぶやくチャンネルです。

メリットとしては、気軽に意見を書き込める、心理的安全性の担保された場を作れるという点でしょうか。

times のメリット

なぜそのような場が必要なのかといえば、例えば組織規模が大きくなってきた場合、全社員が見ているようなパブリックチャンネルでは徐々に発言するハードルが高くなってくるものです。

しかしtimesなら、あくまでも個人チャンネルという建前があるため、何でも気軽に書き込みやすくなります。

そのため、新入社員のオンボーディングにもしばしば用いられます。例えば、入社すると先輩から「times作っておいたら?」と勧められ、オンボーディング中に分からないことがあればそこにつぶやく、というものです。

ちなみに、わたしも所属している会社では times を開設し、毎日何かしらはつぶやいている気がします。

times のデメリット

ここまで話を聞いていると、まるでメリットしかないようにも思えますが、そうとは限りません。まず、単純に times が増えてくると、認知コストが高くなってしまいます。

わたしも経験があるのですが、times がブームになり始めた時、初めは10人程度しか開設していなかったのが、20、30と増えてくる。こうなってくると、すべての times を見て回るのは大変です。

特に Slack で未読があると気になってしまうタイプの人なら尚更でしょう。times 巡りをしていたら、あっという間に時間を吸い取られた、という経験をした人も多いはずです。

心理的安全性と組織の成熟度

こうした点も含めて、times は一定のリテラシーを要求すると思っています。

例えば、times を開設する人の主観としては、心理的安全性が高い状態で発信できるかもしれません。しかし、当たり前ですが、何気ない発言が他の人を傷つける可能性もあります。

リアルなTwitterであれば、嫌なツイートを目にしても無視するだけで済みますが、社内の見知った人の投稿ともなると、なかなか無視できないのが人情というものです。

会社の制度や組織の方針に対して、斜に構えた批判をしてみたり、「モヤモヤする」と書き込む人も中にはいるでしょう。

本人としては、正直な気持ちを気軽に書き込んでおり、そうした本音を発信できる環境作りは大切だと思います。一方で、受け取る側が嫌な気持ちになる可能性について、全て受け取る側の問題として処理してしまって良いのか疑問が残るところです。

あるある?times 疲れについて

わたしも、たまたま落ち込んでいるときに他人の times を見て、遠まわしにマサカリを投げられた気分になることがありました。そんな事が何回かあって、一時期は全てのtimesから抜けたこともあります。

初めに times から全て抜けようとした時は、何だかんだで仕事に関係する情報も飛び交うこともあり、困らないかと不安に思ったものです。しかし、実際には特に困ることもなかったし、余計なノイズが減った分メンタルには好影響でした。

ここまで書いて思うこととしては、timesのようなオープンな仕組みは、手放しで導入してうまく行くものではなく、組織や個人の成熟度が試されるのかもしれません。性善説が通用する環境、とでも言うのでしょうか。

その点も含めて、先ほども述べましたが、times は見る側、発信する側両方のリテラシーが求められると思いました。

おわりに

さて、ここまで times について色々と書いてみましたが、あなたはどう思いますか?以前のわたしのように、times疲れを訴える人もいれば、マッチしていると感じる人もいて、なかなか面白かったです。

ちなみに、現在はそれほどストレスを感じず times と付き合えるようになりました。以前よりも大人になったのかもしれません。笑

note.mu

stefafafan.hatenablog.com

micro-kirimin.hatenablog.com

timesを機能させる、といえば大げさかもしれませんが、心理的安全性について組織としてしっかり共通認識ができていることが重要だと思っています。 

家と油

最近「賃貸併用住宅ってどうなんだろう?」と思い、本を読んでいます。オーナー用の居住スペースが全体の50%以上であれば、住宅ローンが適用される場合があるらしいです。

とはいえ、新築は色々な経費が乗っていて高いし、中古はそもそも市場に流れてこないので、難易度は高そうな印象です。

下記の本はなかなか参考になりました。

ところで、通っている整骨院で「空き家が痛みやすいのは、人の出す油がないから」という話を聞きました。整骨院の先生は、知り合いのベテラン大工から聞いた話のようです。

空気の流れ云々はよく聞くが、人の油というのは初めて聞きました。人は油を出していて、それで階段の手すりがピカピカになったり、隙間に入り込んで畳の目が締まったり、それで家が活性化するそうです。

油と言われると何だか汚いように感じてしまいますが、確かにと思わなくもありません。楽器にも同じことが言えるかもしれません。家と油。

Piascore用にiRig BlueTurnを買った

ウクレレを練習する時は、いつもiPadのPiascoreアプリに譜面を取り込んで、縦置きにして見ながら演奏しています。

初めは気にしていなかったのですが、いちいち演奏を止めて指でスワイプしての譜面送りが面倒になってきたため、iRig BlueTurnを導入しました。

幅はiPhoneの縦幅よりも小さいくらいで、ボタンは見た目からカチッと鳴りそうですが、実際にはむにゅっと押し込むような感触でした。足で踏みやすいと思います。

お値段はそこそこするので、譜面送りのデバイスにここまで投資する必要があるのかと悩みましたが、趣味として続けているような温度感であれば、あっても良いでしょう。痒い所に手が届く商品、というやつです。

他には、電池で動作するところも逆に良いと思いました。下手にバッテリー式だと、充電の度にケーブルに繋いだり、面倒が増えるばかりなので。

やまもとひかる『AM Vol.1』に行ってきた

やまもとひかるさんのライブに行ってきました。あんなにベースをゴリゴリ弾きながら歌えるのすごすぎる。3ピースの編成でしたが、そうとは思えないくらい迫力がありました。アンコールの『ナムネス』が最高だった!

ナムネス

ナムネス

  • やまもとひかる
Amazon

観客側も含めて全体的に温かみのある感じでした。見守ってる感?というか。優しい世界だ。

他の方々は何きっかけで今回のライブを知ったんだろう。YOASOBIとかももクロからの流れが多いのかな。

ちなみに、わたしが知った理由は下記のインタビュー記事がきっかけでした。

spice.eplus.jp

それで「あ、紅白でYOASOBIのバックでベース弾いてた派手髪の人だ」と思い出して、Spotifyを見たら初ライブがあると知って勢いでチケットを買いました。


www.youtube.com

予習でYouTubeを見ていたら、大好きなずとまよのベースカバーもされていて、めちゃくちゃ上手くて最高でした。

技術を好きでい続けるために必要なこと

CTOとの1on1で、今期のふりかえりをしました。

ジョブチェンジ(デザイナー → バックエンドエンジニア)してみて、ぶっちゃけどうだったかと聞かれました。周りから見れば簡単なことしかやっていないと思うが、主観的にはかなり大変だったと答えました。笑

また、思い描いていたプランと、現状の成長度合いを比べてどうかとも聞かれました。なかなか複雑な気持ちです。エンジニアになる時に考えていたのですが、自分への期待値をあまり高く持ちすぎないようにしようと心がけていました。

理想が高すぎたり、周囲と比較しすぎてしまうと、どうしてもメンタル的にしんどくなってしまう。だから、昨日の自分より少しでも進歩しているかどうかを見る。そうやって1日1日やっていけば、いつか振り返った時に成長した自分を見つけれれるのではないかと。

とはいえ、完全に周囲を気にせず吹っ切れているかといえばそんなこともなく、ふと「なぜ自分はこんなにできないのだろう」と思ったり、先輩エンジニアから「こんなことも分からないのか」と呆れられていないか不安になります。

というように答えたのだが、CTOから「それでいい。あまり気にしすぎると、つらくなると思う。焦らずやっていけばいい。」と言葉をかけていただき、少し元気になりました。また「好きでいることが大切。好きでいさえすれば、続けられるし、そうすればできるようになる。嫌いになってしまうと、つらいだけになる。」ともアドバイスを受け、本当にその通りだと思いました。

好きであり続けるためには、とにかく楽しむことが大切だと言います。仕事の中でやっていると、貢献しなければと焦ったり、周囲比べて落ち込むことも多いです。それはそれで、必要なプレッシャーではありつつも、純粋に技術が楽しいという気持ちを忘れてしまってはいけない。

こうして文章に記すと、メタ認知できている気分にもなりますが、それでもモヤモヤしたり、落ち込むこともあります。そんな時、こうしてコーチングしてくださる上司がいることは幸せなのだと思いました。

『CAREER SKILLS ソフトウェア開発者の完全キャリアガイド』を読んだ

表題の本を読み終わりました。タイトルの通り、ソフトウェア開発者のキャリアについて広く触れられており、カジュアルに読める一冊でした。その中でも、さっそく取り入れたいポイントや、印象に残ったポイントをまとめておこうと思います。

フリーランスになる場合の時給

フリーランスになる場合、サラリーマン時代の時給換算で、ちょうど2倍くらい稼がないと割に合わないようです。そういえば、前職のエンジニアの同僚からも同じことを聞いた事があり、ひょっとすると、その方もこの本を読んでいたのかもしれません。

フリーランスになれば、額面上は高い報酬を得られるようになり、稼げているように錯覚しやすいでしょう。しかし、日本ではサラリーマンは優遇されていて、社会保障や税金をはじめ、福利厚生など多くのメリットを無意識に享受できています。

また、会社が正社員を1人雇う場合、だいたいその人の給料の2倍のコストがかかっているともよく言われますよね。一概に当てはまらないかもしれませんが、少なくとも感覚としては2倍稼がないといけない、というのは正しいのかもしれません。

コーディングスキルのコモディティ化

オフショアによって、単純にコードを書けるだけのエンジニアは、以前よりも価値が低くなってしまいました。

では会社に属してエンジニアをやる上での強みは何かというと、業界や自社プロダクトに関するドメイン知識でしょう。その上で、ステークホルダーとのコミュニケーションが取れて、要件を正しいソリューションへと翻訳できる。それができて価値のあるエンジニアと呼べるのであって、言われた通りにコードを書くだけであれば、代替できる人材としてすぐに切られてしまう。

なかなかグサっと来ました。笑

とはいえ、デザイナーの頃にも同じような言説を目にしていたので、職種を問わずこうした側面はあるのでしょう。どんなスキルであっても、法律で規制をかけてでもいない限りは、スキル自体は必ずコモディティ化していくのでしょう。

サイドプロジェクトに取り組む

キャリアを伸ばす最良の方法は「サイドプロジェクトに取り組むこと」と触れられていました。サイドプロジェクトをやることで、業務では触れられないスキルが身につくし、それを掛け合わせて新しい可能性も見出せます。

とはいえ、何をやれば良いのか思いつかないのであれば、既に存在するサービスのクローンを作るのがおすすめなのだそうです。

わたしにも覚えがあります。去年まで趣味でVRゲームを作っていた時にも、まずは本の中で作るサンプルを少し変えただけのゲームを作りました。その後で、少しずつできることを増やしていって、オリジナルに近いものを作ることができました。

クローンといっても、視点や見せ方を少し変えるだけで、オリジナリティを発揮する機会は残っているのでしょう。散々当てこすられた例ですが、Twitterだって「短い文章しか投稿できないブログ」とも言い切れますしね。

おわりに

書かれている内容に目新しさはありませんでしたが、適度にモチベーションを上げてくれる良い本だと思いました。著者自身も述べていますが、扱っているテクニックは普遍的であり、長期間に渡って役立つコンテンツになっています。

エンジニアとしてのキャリアに悩む人はもちろん、物作りに関わる全ての職種におすすめできる一冊だと思いました。

SFの面白さの正体と、ケン・リュウの『もののあはれ』について

ケン・リュウの『もののあはれ』というSF短編集が、めちゃくちゃ面白かったです。

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

 

ケン・リュウ氏は、名前から一見すると日本人のようですが、中国生まれのアメリカ人SF作家です。しかし『もののあはれ』というタイトルは邦題かと思いきや、原題そのままなのだそうです。カッコいい!

小説に行き着いた経緯としては、Netflixのオリジナルアニメ『Love, Death & Robots』(こちらも短編アニメ集)で、『もののあはれ』に収録された短編を原作とするエピソードがあったからです。

ケン・リュウのSF小説の魅力は、物語のバックグラウンドに、東洋の文化や歴史のエッセンスが入っているところだと思います。短編に収録されたテーマは、どれもモチーフとしては普遍的です。例えば、不老不死や、惑星移住、肉体と精神の分離など。しかし、そこに上述したようなエッセンスが加わって、独特な世界観が醸成されているのでしょう。

そんなわけで、ケン・リュウ氏その人に興味を持ってネットサーフィンしていたら、次のWIREDのインタビュー記事を見つけました。

この記事の中で、同氏がSFの面白さについて語った一文があって、ものすごく印象的でした。

SFやファンタジーでは、実在しないものをメタファーとして描くことができる。つまり実世界では抽象的、あるいは観念的にしか語れないようなものを、リアルな、手に取れるものとしてストーリーに登場させることで、ぼくらはいつもとは異なる方法でそれを解釈することができるんだ。

この一文には感動しました。わたしがなぜSFが好きなのか、代わりに言語化してもらえたようで嬉しくなりました。SFといえば、未来のテクノロジーや「そうなったかもしれない未来」について描かれることが多いですよね。

今までは、そんな「ありそうでない世界」にワクワクしていたと思っていたのですが、SFはその媒介になってくれていたのだと気付きました。だから、SFに触れると知的好奇心を刺激されるし、心を豊かにしてくれるのだなと。素晴らしい本に出会えて良かったです。

集中力と反射神経を鍛える、VR色あてゲームを作った(Oculus Go向け)

こんにちは。もうすぐ、Oculus Questが発売されそうですね。Oculus Goを買ってから、Oculus Riftも買った自分としては、ようやくVRらしい体験がスタンドアロンで実現することがとても楽しみです。これをきっかけに、2019年は、ますますVRが盛り上がっていくと良いなと思います。

さて、前作のHalloweenShootingに続いて、新しいVRゲームを作ったので紹介させてください。

一言で表現すると「集中力と反射神経を鍛える、VR色あてゲーム」で、タイトルは「ColorBallPicker」です。今回は、このゲームの制作を通して得られた気付きを書き留めておこうと思います。

背景

ゲームを作るにあたり、着想となったのは、「カラー神経衰弱」という遊びを知ったことでした。カラー神経衰弱は、通常の神経衰弱とは異なり、図柄ではなく色を合わせるゲームです。

通常の神経衰弱よりもさらに簡単なため、小さな子どもや、認知症のお年寄りに向けたレクリエーションとしても活用されているようです。

カラー神経衰弱 - デイ:おすすめレク

ルールが単純だからこそ、VRを活用し、さらに集中力を鍛えるゲームとして昇華させられると考えました。

ゲームルール

遊び方は単純で、以下の3つのステップから成り立っています。

1. オープニング

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スタート画面で、好みの難易度を選びます。初めての方は、Easyモードから。慣れてきた方は、Hardモードをおすすめします。

2. ゲーム開始

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ゲームが始まると、目の前に小さなボールが表示されます。周りを見て、同じ色のボールに向かってレーザーを当て、トリガーを引きます。

3. ゲーム終了

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制限時間が過ぎると、獲得したスコアと評価コメントが表示されます。自己ベストを目指して、何度も遊んでみてください。

VRへの展開と仮説

元々、神経衰弱は英語で「Concentration(集中)Game」と呼ばれており、集中力を鍛えられるゲームとして知られています。

VRのメリットとしては、360度の視覚表現と、没入感を持たせられるところです。よって、通常の神経衰弱と異なり、目の前だけでなく広範囲に注意を向けさせられます。

また、VR空間に入ることで、周囲のノイズも遮断できます。色を選ぶ行為と、VRならではの表現を掛け合わせることで、集中力はもちろん、空間認識能力や、判断力、反射神経も鍛えられるゲームを目指しました。

フィードバック

今回は、機会があって10数人くらいの方からフィードバックをいただき、改善点も見出すことができました。

VR未経験者にはルールが理解しづらい

コントローラーからRayが飛んでいて、ターゲットに合わせてトリガーを引くというのは、VRゲームではよくある表現方法です。しかしながら、VR未経験者にとっては、直感的にルールを理解することが難しかったと思います。

やはり、何らかのチュートリアルを実施するか、オープニングで軽くゲームルールの説明は必要だったと反省しました。

ボールを選んだときの反応が分かりづらい

ボールを選んだ際、正解だとキラっと光り、不正解だとモヤが出るようにしていました。しかし、明るいステージ作りをしている関係で、特に正解だったときは光っているのが分かりづらくなっていたようです。もっと、ボールが爆発したり等、分かりやすい表現が必要だったと思います。

ボールの動きが速すぎて難しい

体験される方によっては、Easyモードで相当ゆっくりなボールの動きでも、早くて難しいと感じられる場合があるようです。

こういった感覚も、ユーザーテストを通してフィードバックを得られなければ、掴めなかったと思います。先ほどのゲームルールの話と合わせて、例えば、まったくボールが動かないチュートリアルステージを作っても良かったかもしれません。

おわりに

全体的に、作っていて思ったのは、あらためて1人だけで全て作るのは大変だなということでした。

企画から、必要な3Dモデル探し、実装、音楽、ゲームルールの調整など、やることを挙げれば枚挙にいとまがありません。そのため、いかに落としどころを見つけて、どのように着地させるかを考えることが重要だと感じました。

だからこそ、色々な得意分野をもったメンバーでチームを組んで作るのが、一番良いものが作りやすいのだと分かったような気がします。

今年は、もっといろんな人を巻き込みながら、何かVRコンテンツを作れたらいいなと思いました。それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!